感想といってもうまく書けないんですが、主人公の田村一等兵は大岡昇平自身の投影。以下は、新潮文庫の裏表紙から。
敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける・・・・・・。
平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったのかをたどる戦争文学の代表的作品である。
こういう小説は最近はあまり読む人がいないのかと思いきや、アマゾンのレビューを見るとなかなかどうして今もって人気作品のようです。小説は1952年(昭和27年)発表。
野火 (新潮文庫)著者:大岡 昇平
販売元:新潮社
発売日:1954-04
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大岡昇平が徴兵されてフィリピン戦線へ赴いたのが戦争末期の1944年、35歳の時。小説はその時の体験が下敷きとなっているようですが、大岡はそれまでは川崎重工の平凡なサラリーマンだったようですね。もし自分自身が35歳で、結婚していて、平凡なサラリーマン生活から一転、戦地へと送られることを想像すると、それだけでも大変なことです。
小説の舞台となったレイテ島北部。田村一等兵はオルモック(Ormoc)付近で敗残兵となり、国道オルモック街道を北上し、途中、国道を左に分かれ(たぶんCatayom付近?)、軍司令部がセブ島への脱出港として指定したパロンポン(Palompon)を目指します。
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登山家・野口健は、今年10月、レイテ島の遺骨調査団に同行し、
レイテ島・遺骨調査の報告 [野口健公式ブログ]
と題して自身のブログで当時のレイテ戦の悲惨さを伝えていますが、小説「野火」の舞台となったのは、まさに彼が訪れたオルモック北方のカンギポット山周辺。ここで一万人以上の兵士が飢えによって亡くなったそうです。セブ島へ脱出できたのはわずか900名。
そんな過酷な状況の中、小説「野火」の主人公はまさに奇跡の生還を果たしますが・・・ただ終戦後、復員した彼を待ち受けていた運命は、精神病院への収容でした。
